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マサトヰシグロシャムロック「G」@100年の共産党

グラビアアイドルのDVDをレビューしていくブログ。

柏木美里「放送禁止」(イーネット・フロンティア、監督:安倍雄治)

 雑誌『SPA!』(扶桑社)の名物コーナー「グラビアン魂」。みうらじゅんリリー・フランキーが毎週1人のグラビアアイドルをプロデュースしたグラビア記事を掲載する内容だ。
 今週号(7月19日号)、このコーナーに登場したのは柏木美里。7月22日に発売される、みうら原作のDVD「正しい保健体育」の主演女優だそうで、今回の登場はその宣伝も兼ねているようだ。
 「グラビアン魂」は毎回みうらとリリーの対談があり、そこで登場するグラドルをあれこれ評価していくのだが、毎回しょうもない話に脱線する。それはともかく、2人はたまに、そのグラドルが出演したIVを観賞して感想を述べることも多い。
 柏木を取り上げた今週号、2人の対談で俎上に上がったのが、これから紹介するIV「放送禁止」である。

 「レースクイーンの素顔・禁断の私生活を生々しい表現の連続で魅せます!!」―「放送禁止」の裏ジャケに記されたコピーだ。
 実際にサーキットの華・レースクイーンとして名を馳せた柏木の魅力に迫る上で、非常に有用な文句ではある。しかし、この作品においては、彼女の「レースクイーン」という肩書は全く用をなさない。そもそもレースクイーンの衣装に身をまとった柏木の姿など影も形もないのだ。
 まあ「素顔、私生活に迫る」というのだから、レースクイーンの仕事着がなかったとしても納得はできる。ただ、この「放送禁止」は、あまりにも見る者の度肝を抜く方向へ突き進んでいく。

 都内スタジオにてグラビア撮影を行い、無事に終了した柏木。仕事後のリラックスした私服姿の彼女を、隠しカメラが追う。これから何をする、ショッピングかな映画かな…違った。待ち合わせた男性とラブホテルへ直行である。まだ昼下がりにこんな場所へ行くなんて、まさか不倫とかワケありの相手か? そんな疑問をものともせず、受付中の柏木は慣れたふうに部屋選びをしている。
 この場面、百戦錬磨のみうら&リリーもあぜんとしたようだ。

 みうら(以下M)「男とラブホテルに入ってるって、これはもはやグラビアじゃないよね?」
 リリー(以下L)「……もうセックスとかしたくなってきましたよ、最初に言っちゃうと」
 M「オレだってしたいですよ(笑)」

 おしゃれなラブホテルの一室で、柏木と恋人(不倫相手?)は甘ったるい時を過ごす。会話らしい会話をせず、柏木はくぐもった笑いを洩らしながらゆっくりとニットの白セーターとキュロットを脱いでいく。決して高級感のないベージュ下着、黒パンストのコントラストが逆にそそる。
 さらに時間をかけてパンストを脱いだ柏木は、股間を凝視されるのを恥ずかしがりシャワーへと相手を誘う。
 さて、風呂場でのやりとりが序盤の見どころと言ってよい。水着を付けて入浴やシャワーをこなす従来のIVと違い、柏木は一糸まとわぬ姿でシャワーを浴びる…まあ、ヌーブラを付けていたんですけどね。
 恋人を風呂場に招き入れてからの、彼女の演技は圧巻だ。男性側が若干柏木を見下ろす体勢の中、彼女は彼の体を洗い始める。いわゆる疑似的行為の始まりだが、ここでの柏木のリアクションがどっぷりと濃厚なのだ。上目遣いしながら「ふふっ」といたずらっぽく笑ったと思えば、次の瞬間には「私だけを愛して…」と言うような哀願の表情で手を動かす。そして次の瞬間には自分の肩や胸元を洗いだし、すっかり男目線となったこちらをじらす。
 そして再び男の体を洗い、また自分の体を洗い…さんざんじらした揚げ句、上目遣いしながら放つ柏木の「気持ちいい?」の言葉と来たら! これでメロメロにならない男はいないのでは。

 M「しょっぱなからラブホテルで、男の体洗ってるシーン見せられたらなあ。これは、否が応でもしたくなりますね」
 L「脱いだらますますいやらしい顔するし……(略)」

 と、「グラビアン魂」の2人にも伝わるものがあったようである。

 興奮は風呂場では収まらない。風呂上がり、バスローブをまとい、ベッドに横たわった柏木は、目を半開きにした艶っぽい表情で、カメラ(男性の顔)にキスを何度も繰り返す。ディープキスを求めるように、舌まで突き出して。
 程なく彼女は男に馬乗りとなり、いとおしそうに彼の体を口で貪り出す。その行為は下腹部と思われる個所まで続き、髪をかき上げて「それらしい」上下運動までしてみせた。
 うつぶせとなった柏木は、男にパンツをずり下ろされ、声をひそめながら小刻みな前後運動をする。そしてカメラは、満足そうな顔をした柏木をとらえる。
 端的に言えば、この作品はラブホテルに入ってからセックスをすませるまでの一部始終を表現したわけだ。こういう試みを、私は寡聞にして知らない。ちなみにラブホテル内のやりとりは約25分間に上る。一つのシチュエーションでこれだけの時間を要するのは、もちろんIVの中でも異例である。
 他人同士のセックスをのぞき見する…なんて経験はもちろんあるわけないが、それに疑似した体験をできる場というとAVがある。しかしまさか、アイドルDVDでそんな体験ができるとは思わなかったなあ〜というのが、「放送禁止」を見たときの率直な私の感想だ。 

 後半に入っても、作品の勢いは衰えない。翌日、再び恋人と会った柏木は、彼の持っていたカメラにより人気のない場所で撮影させられる羽目になる。AVでいう「路上モノ」で、柏木は人目を気にしながらもスカートめくりや胸の谷間見せ、M字開脚に応じる。
 恋人の狼藉はまだ終わらない。その後2人はドライブを楽しむが、恋人は車を停車させた後、ふいに柏木の服を脱がしにかかる。拒否しながら息遣いがどんどん荒くなっていく柏木が、ことのほかエロい。やがて満更でもなく甘い声をあげながら、柏木はパンストと上着をめくられ、「恥ずかし固め」状態とされてしまうのだった。
 こう書き出してみると「AVと変わらんやんけ」とおしかりの言葉を受けるかもしれない。ただ実際に見た者からすれば、柏木は「下品」とされないギリギリのラインでよく熱演をしていると思うのだ。「グラビアン魂」で、リリーはこう語っている。

 「彼女のエロは、すごく過激だけど、腹が立ったり、観る側に『下品だ』と思わせたりはしないんですよ。それはたぶん、演じる能力が高いおかげだと思うんですけどね。彼女のその能力の高さだけ『品』がある」
 「彼女と同い年くらいのグラドルでも、こんなラブホテルとか、外とかクルマでやる設定なんて、スキルが高くないとイタくて観てられないでしょ」

 こうした彼の主張に、私は同意する。過激と下品は違うのだ、と。

 作品全体を見れば、とにかくラブホテルと路上露出、車内プレーの過激度が高過ぎて他のチャプターとのバランスが取れていないのが難点だ。自宅マンションでの歯磨き、就寝中の映像は正直退屈。ラストチャプとなる恋人と旅館でしっぽり…の場面もラブホテルのときと比べるとワクワク感や臨場感が劣る。
 そんなうらみもあって、「放送禁止」は今年前半戦の個人的IVランキングのベスト10入りは見送らせてもらった。ただ柏木のポテンシャルの高さは、まさにグラドル界でも屈指のものがあるのは分かっているつもりだ。
 次回作では、ぜひこんな私を後悔させるほどの素晴らしい出来のIVを撮って、突きつけてほしいのである。