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マサトヰシグロシャムロック「G」@100年の共産党

グラビアアイドルのDVDをレビューしていくブログ。

松下李生「いけないセイト」(エアー・コントロール、監督:安倍雄治)

 アイドルDVDといっても、ある程度はモデルの演技力が必要だと常々思っている。女の子のいわば「独り芝居」を約1時間〜1時間半という長尺の作品に収めるわけだからだ。単にセリフ回しや所作のうまさにとどまらず、視聴者にセクシーを提供しなくてはならないのだから、グラドルは本来非常にハードルの高い仕事だと私は思うのである。
 もちろん人間というのは成長する動物である。よって、以前見た作品で「演技下手やなー」とみていた子が、後の作品で「スゲーうまくなってる!」と印象が変わることだってあるということだ。そういう作品(モデル)に出合うことは、アイドルDVD観賞のまぎれもないだいご味の一つといえよう。

 さてそんな前置きをした後の、松下李生「いけないセイト」レビューである。
 松下は1991年生まれの20歳。昨年、中村知世が華々しい復活を果たした「日テレジェニック2010」の予選に出場したが、あえなく序盤で敗退した経歴を持つ。ジェニック敗退から少したった昨年の暮れ、竹書房からの「Pure Smile」でDVDデビュー。今年の春に2作目「妄想癖」(イーネット・フロンティア)をリリースし、今回が3作目となる。
 ジェニックには輝けなかった彼女だが、幸運にもDVDの評価は上々であった。身長147cmという小柄にもかかわらずメリハリの利いたプロポーション、古風さすら感じさせる目鼻のくっきりした美少女フェイスはネット上でも少なくない固定ファンを得た。

 だが―このへんが私のあまのじゃくなゆえんといえようが―個人的に、松下へのDVDの評価はハッキリ言って低かった。確かにルックスはいい、スタイルも腰から太ももにかけてのラインがよく、マッサージシーンが非常に映えるのは分かる。それでも酷評したくなるのだ。なぜかというと、演技力が「棒」だったからである。1、2作目はとにかく演技力のつたなさが目に付いたのだ。
 セリフ回しの棒はまあ100歩譲るにしても、カメラを回しているときの表情が定まらないのである。どこか目つきがボンヤリしているといおうか。加えてリアクションも鈍かった。「妄想癖」では2本の棒アイスを相手に舐めプレーを試みるのだが、これがどうにも。舌を使って舐めるとか一切せず、ただ普通に食べているだけ。伊藤えみ戸田れいとは対極にある勘の悪さが目立って、見返す気もしなかったほどである。

 それほどまでに松下を酷評していた私が、3作目の「いけないセイト」を購入する。全く締まりのない話だが、パッケージ裏のアイス舐めカットに一縷(いちる)の望みを託したのだった。裏パケには、上目使いでアイスをくわえる松下の写真が収められている。グラビア勘の鈍い松下だが、大きな瞳を生かした上目使いは過去作品でもなかなか堂に入っていた。
 (ひょっとしたら今作は当たりかも…ダメならもう松下を見限ろう…)大げさながら、そんな思いで松下の新作を購入した次第なのである。

 そうしたらまあ、目からウロコの内容だったではないか。結論から言えば、松下の成長、いや飛躍をまざまざと感じ取ることができた良作である。
 主人公の松下は女子高生役。視聴者目線で表現される男性は高校教師を演じている。安倍監督で学校を舞台にした作品は多いが、「男性教師と女子生徒」で送る物語は、かなり珍しいのではないか。
 前半は、男性教師と松下、それぞれの恋心の動きに表現の重きを純文学さながらに置いている。松下のセリフ回しは相変わらず棒だが、たらいに入浴してしっとりとした艶姿を見せる場面(チャプター4)や、スクール水着でプールに入り水中で開脚を繰り返す姿(チャプター5)にはこれまでと一味違ったエロスがあり、後半への期待を持たせる。

 そして圧巻は、先生に家庭教師を頼むという体で彼の部屋を訪れて以降に見せる松下の媚態である。
 チャプター8、勉強タイムで一息ついた松下と男性教師は、近くの公園の散歩に出かける。その流れで松下は「先生の彼女、私じゃダメですか?」と大胆に告白。雑木林の木にもたれかけ、カメラキスの後に服やスカートをたくし上げ、黒の下着を見せつける。同じ安倍監督の柏木美里「放送禁止」を彷彿(ほうふつ)とさせるシーンだ。
 チャプター9、舞台は風呂場へと移る。ピンクのビキニ姿の松下は「かけて…」と悩ましくささやき、シャワーの放水を受ける。教師から後ろ向きとなって浴槽のへりに腰かけた松下は、体を洗うよう依頼。ここでの男性教師の洗いっぷりが冒険している。ブラシなどを使わず、泡立てた両手をそのまま彼女の脇の下へ滑り込ませ、バストを持ち上げるように揉み立てる。松下は嫌な素振りを見せず、挑発するような上目使いをしてみせるのだ。
 前作までで、私が唯一評価していた「上目使い」を見事に勝負どころで駆使したのである。ここで今作の評価は定まったと言っていい。さらに、男性教師の手は胸から尻へと移行し、まるで痴漢のような指使いで尻を触り立てるのだが、これに松下は前傾姿勢を取って尻を突っ張らせ、感じているようなリアクションが見事であった。

 松下の攻勢は、チャプター10でもとどまるところを知らない。
 風呂上がりでぬれ髪、バスタオル姿の松下に、棒アイスが差し出される。「食べてもいい?」と言いながら、松下は舌をチロチロさせてアイスを舐めだす。「ああん…」と舌舐めずりしながら四つん這いの体勢を取り、定評のある上目使いでアイスをくわえる。加えて首もうまく動かしながらアイスの側面までキッチリ舐め上げる松下は素晴らしいの一言。「妄想癖」で感じたストレスなど、どこかに消し飛んでしまっていた。

 ラストのチャプターも、ベッドで開脚しながら乳液を塗るなど見どころはあるのだが、とにかく今作は公園→風呂場→アイス舐めのシークエンスの見事さに尽きる。今年のIV界は、7月以降の下半期で麻生亜実水谷彩也加村上友梨仁藤みさきといった若手グラドルの大胆な作品が目立つのが特徴だが、松下も「いけないセイト」リリースで、晴れて若手戦線のトップに食い込んだとみてよいだろう。
 ブログによると、松下は既にサイパンで新作DVDの撮影を終えたらしい。いやがおうにも、出来に期待が高まるというものである。