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マサトヰシグロシャムロック「G」@100年の共産党

グラビアアイドルのDVDをレビューしていくブログ。

鎌田紘子「ぼくのともだち」(竹書房、監督:安倍雄治)

 個人的には、11月リリースのIV作品群には、あまり期待をかけてはいなかった。
 いや、まあ全く期待していないわけではもちろんなかった。なにしろ、翌月12月のリリースが山口沙紀の「願望図鑑」、戸田れいの「欲望の対象」、水谷彩也加の新作、そして鈴木ふみ奈の2作同時…と個人的に注目している作品が目白押しだったので、そちらに気を取られていたというのが正直なところであった。
 11月リリースの中では、成海舞の「僕の妄想」、日向泉の「Memories」あたりは押さえないとな…と思っていたときにちょっと引っ掛かる作品があった。
 竹書房から出た鎌田紘子の最新作「ぼくのともだち」である。
 
 今年22歳の鎌田は新人というわけではなく、かつて深夜番組「ランク王国」(TBS系)の司会を務めた実績のあるアイドルである。キャリアに比してグラビアの露出は多くはない。DVDも2枚出しているが、この最新作は実に1年8カ月ぶりのリリースであった。
 かようなわけで、決してグラドル界の中心からは久しく外れていた存在の鎌田であった。しかし、発売前から上がっていたジャケット写真を見ると何かが違う、そう思わせる。表ジャケの妖しい黒下着(下はパンツ2枚重ね履き)、裏ジャケの上半身裸にネクタイブラ…そして監督が「再生工場」ぶりに定評のある安倍とくれば、やはり期待を抱かないわけにはいかない。
 そんな思いで購入した作品ではあるが、見通してみればまーあ度肝を抜かれる抜かれる。私はよく良作を評するときは、「乾坤一擲」という言葉を馬鹿の一つ覚えで使ってしまうのだが、今回もまさにそれ。いやあ、モデル・スタッフの全力投球ぶりが伝わってくる力作だった。これも陳腐な表現で恐縮だが。

 この作品は、冒頭でダイジェスト映像を流していない。サトウキビ畑に面した通学路で、女子高生姿の鎌田が友人の男子(カメラ視点)を待っているところから始まる。いつものように遅れてやってきた男子をたしなめる鎌田に、(本当のことを言えない私がいる)というモノローグが入る。カメラ視点の男子も、手書きのテロップで「ダメな僕を」「いつも君は」「許してくれる」と鎌田への心情を表現する。
 要は本心を伝えられずにいる友達以上、恋人未満な2人を追った青春物語だと作品は示してくれる。IVだと初めに言わなければ、ショートフィルムズフェスティバルの出品かと思われるかもしれない。

 さてIVとしては異例の出だしを果たした作品だが、その直後に見ているわれわれは度肝を抜かれることになる。
 鎌田の提案で、友達と2人でプールへ行くことになる。ここでの鎌田が先制パンチというくらいにインパクト抜群である。
 プールサイドで身につけているのが、女子高生(役)に似つかわしくないピンクのハイレグワンピース! そんなモン市民プールに着てくんなよ…などと思う間もなく、鎌田は持ち込んできたビニールボートを足こぎ式の空気入れで膨らますのだが、これが輪をかけてスゴい。ハイレグの食い込んだお尻と股間が、足の動きで揺れるさまをローアングルの接写で遠慮なくとらえていく。
 水上ボートをうつ伏せで優雅に漕ぐ鎌田だが、カメラ(男子の目線?)は少し開いた彼女の股間にくぎ付けになっている。そこへ放り込まれるのがプールサイドでのショット。プールサイドに腰かけ、鎌田は奔放に足を投げ出す。いたずらっぽい笑みでM字開脚を決めた後、しどけない表情であお向けとなり、その股間を容赦なくカメラが接写するのだ。このシークエンスは、とにかく迫力満点である。先ほどまでの爽やかな導入部など、あっという間に吹き飛ばしてしまった。

 物語は、夏休みに入った鎌田と男子生徒との交流を丹念に描いていく。前半では海辺にて、赤ビキニで四つん這い歩きする鎌田の尻の接写(ch5)や、なぜかカメラ目線の愛おしそうな目つきで棒アイスをほお張る(ch7)など見どころが多いのであるが、この作品は後半さらにエンジンをかけてくる。

 ch8では、男子が鎌田邸を訪れた際に彼女のお姉ちゃんが登場。安倍お得意の一人二役ものをここで投入してきた。眼鏡をかけ、知的で妖艶な美ぼうを誇る鎌田姉を前に、男子生徒はあらぬ妄想を繰り広げる。らせん階段を利用した開脚アピール、紫のブラジャーを惜しげもなく取り払っての手ブラ姿…におい立つようなセクシーを22歳の鎌田が懸命に演じている。
 ch9で鎌田自身が帰宅してくるのだが、どうやら男子と姉をできるだけ一緒にさせたくないらしい。この辺の姉妹関係はどうも複雑そうで、それだけで独立した作品になりそうである。姉から逃れるべく鎌田は男子を(おそらく親の)自動車に避難させる。車内の暑さが大胆にさせたのか、鎌田はファースト・キスを相手に仕掛ける。その後のイメージシーンは再び股間強調のポージング、口元を引き締めながらの四つん這い、股間を手で隠しながらの開脚接写からは撮影現場の臨場感がそのまま伝わってきそうである。

 姉が出払い、家には誰もいないという理由で鎌田は男子に「お泊まり」を勧める。まあ積極的なこと…と見ていて思うが、そこからはトントン拍子。ch10の風呂場(裸の上半身を浴槽に押しつけるショットはあるが、裏ジャケにある腕ブラはなし。残念)を経てch11、シチュエーションは就寝時の寝室となる。ここが個人的なハイライトだ。
 黒い下着とストッキングに身を包んだ鎌田が、男子のベッドへと滑り込む。白い肌と下着の色のコントラストが映える。「あたしだって、少しはおとななんだよ…」。そこからのイメージシーン、鎌田はまるで、姉に張り合うかのようなセクシーをカメラに見せつけていく。うつぶせからの大胆な開脚を見せた後、カメラの至近距離で四つん這いの尻を前後させて挑発。さらに両足を抱え上げた状態からの股間接写、そしてM字開脚接写、さらに片足M字で腰をわずかに動かしながらの開脚を接写…。この接写3連発は破壊力抜群であった。
 カメラ移動で映り込む鎌田の表情も秀逸。白いほおを紅潮させ、恥じらいと挑発がないまぜになったような表情を浮かべているところに、まさにチャプタータイトル(「大人」)通り、「おとなへの脱皮」を感じさせてもらった。

 この後のch12は、机の下でYシャツ姿の鎌田が男子の手に服を脱がされ、太ももや上半身を愛撫されるという内容である。ここで裏ジャケにある「ネクタイブラ」も披露される。生音空間の中でかなり衝撃的な内容ではあるが、評価の賛否は分かれるかもしれない。現に私としては、1コ前の黒下着が良かったのと、ここでは露出に比してポージングや接写がわりかし踏み込んでないように見えたこともあって、期待外れの感じが大きかった。
 そしてラスト、男子の転校が唐突に告白され、鎌田のもとから(おそらく親の)車で去っていくところでエピローグ。懸命に彼の乗る車を追う鎌田の姿は、IVとは思えぬ本域の演技である。
 作品の冒頭とラストだけ見れば、甘酸っぱい青春ドラマ。そのサンドイッチで鎌田の渾身のエロスを挟み込んだ力作が、「ぼくのともだち」である。

 リリースされて10日たらずの間に、「ぼくのともだち」はAmazonでたちまち出荷不足となる話題作となった。ただしネット上では、賛否両論が巻き起こってもいる。ある掲示板では、監督の安倍やメーカーの竹書房を名指しして、「いたいけなアイドルの将来を考えろ!」とまあ恨み骨髄のシュプレヒコールのような抗議の書き込みまで見られた。
 「ぼくのともだち」(主に制作サイド)を悪しざまに言う人々の中には、もともと「IVの過激化」に対して腹にすえかねているらしい。その思いが過激な書き込みに現れたのだろうが、私はむしろ過激一辺倒にならずに、青春ドラマのコーティングを施して作品を成立させたスタッフの手腕は評価こそすれ、一方的に貶めるいわれはないと思っている。昔のIV(15年以上前)だって、必然性の疑わしい全裸シーンやレイプシーン(イメージだが)があったりしたわけだからね。
 そもそも、グラビアアイドルをつかまえて「いたいけ」呼ばわりって、ちょっと美化が過ぎるのではなかろうか。かつて大原かおりがテレビで「(自分の胸を)見せるのは嫌だ。でもこれで仕事している」とクールに言い放ったことを私はふと思い出すのである。

 ともあれ、全くIVリリースのブランクを感じさせなかった鎌田の熱演は見事だった。アイス舐めが中途半端に終わったことや、疑似的なプレー(風呂場で相手の体をこするなど)がやや不足していたといううらみは残るが、それは次回作に期待するとしよう。
 私としては、戸田れいの「願望図鑑」に匹敵する、2011年のIV界を代表する作品になると言っておきたい。