マサトヰシグロシャムロック「G」

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成海舞「僕の妄想」(トリコ、監督:川嶋征樹)

 「嫌よ嫌よも好きのうち」――などという言葉が世の中にはある。言葉の真偽は措いておいても、この俗言をそのまま投影したかのような男女の「濡れ場」というやつが、かつてのテレビドラマや映画によく出現していたように記憶している。
 れっきとした恋人同士ではない微妙な関係の男女、そのうち男の側がたまらず女を押し倒す、女は初めこそ拒絶するがそのうち相手の荒々しい愛撫を受け入れ甘い声を上げ始める……というアレである。具体的には、今村昌平監督の「楢山節考」とか。漫画で言えば、手塚治虫昭和新山を題材にした短編「火の山」でも、かようなシーンを見ることができる。2時間サスペンスではセックスまで行かない場面も多くあったが、んまー、私の思春期時代にはその手のドラマが多く出回っておりましたね。
 今回紹介する成海舞の新作「僕の妄想」には、そうしたかつての創作で見られた男女の機微(いささか男性側の欲望に偏っている)からなるエロスを端的に表現している場面が多く見受けられた。

 「僕の妄想」は、川嶋監督によるシリーズの2作目。タイトル通り、カメラ視点の男性(視聴者の代表)がモデルを眺めて浮かべるあらぬ妄想を映像に具現化するというコンセプトを持ったシリーズだ。第1作のモデルは山口愛実が務めている。成海は上村知之の「願望図鑑」シリーズ第1作のモデルを務めており、今回の起用は「願望図鑑」の熱演を受けてのものであろうか。
 作品の舞台はタイ。成海演じるヨガ教室の先生が、教え子である少年(年齢は明示されていないが、成海から「ボク」と言われているからおそらく少年に近い世代)と2人きりのタイ旅行を行い、現地で成海が男子を誘惑したりじらしたり…という筋立てだ。

 今回のレビューは思い切って前半を端折ってw、後半の風呂場のシーンから入ろうと思う。冒頭に述べた「嫌よ嫌よ――」のくだりを消化しなくてはいけないし。こう書くとやっつけ仕事に思われそうだが、サクサク行かせてもらう。
 カメラ視点の男子が風呂場をのぞき込むと、ビキニ姿の成海が己の肢体にローションを塗りたくっている。やがて男子の視線に気づいた成海が、上目使いで「うまく塗れないの…」と彼にローション塗りを要請する。ここからの約4分間が、非常に振るっている。
 成海の「うまくローションが塗れない」という悩みは、明らかに背中部分をさしていたように思うが、男子のローションまみれの手はなぜか成海のバストを這っていく。その手つきはマッサージのような健康的なものではなく、愛撫のニュアンスを含んでいる。当然、成海の方はけげんな表情を浮かべ、時には男子の手つきを自らの手で遮ろうとする。しかし男子の手は、城主のいる本丸一直線の城攻めを見せるかのように、愚直に成海のバストを揉んでいく。
 揉まれていくうちに、成海のリアクションに変化が生まれてくる。先ほどまで相手の狼藉を遮っていたはずの両手はいつの間にか警戒が解け、なすがままとなっていた。男子の手はさらにエスカレートし、まるで痴漢のように背後から脇の下に腕を通して成海のバストを両手で揉み始める。これに成海は抵抗するどころか、自ら両の拳で胸を寄せたり、さらにはブラジャーの谷間の紐を引っ張ったり、果てはバンザイの格好になって悩ましいカメラ目線で脇をさらすなど、まるで相手を誘惑するような素振りを見せるではないか。
 そしてローションプレーは下半身に移行する。後ろ向きに立った成海の尻にローションをたっぷりと垂らし、男子の両手は成海の尻を交差しながらたっぷりと揉み立てる。成海は前後左右に尻をくねらせ、見下ろす視線の表情で色っぽくこうつぶやく。
 「なんか…変な感じになって来ちゃった…」
 このシークエンスがセクシーでなくてなんであろうか。青少年の直情的な欲望を「嫌よ嫌よ」のエッセンスを織り交ぜつつ受け止めきった成海の演技(艶技)に脱帽である。

 ほかに良かったところとして、マッサージのシーンも挙げておきたい。
 「プライバシー」(2010年、I―ONE、監督:嶋公浩)でもマッサージで悩ましいリアクションをしてくれた成海。今作でもあお向けの姿勢から男子の手でみっちりとマッサージされ、「…胸が大きくなりそう…」と鼻声で言いながら自ら両手で胸を寄せて相手を誘惑したのは見事だった。また、男子の方も寄せた胸の谷間で両手の人さし指を交互にレーシングさせたのも秀逸なリアクションだったと思う。

 とはいえ、作品全体を見渡してみれば粗の多い内容だったように思う。そもそも大して親しくもなく年齢差もあろう2人の男女がタイ旅行するってありかよ? まあこれを言いだしたらキリありませんけど。
 何より不満が残ったのは、接写という面で股間へのアプローチが弱かったことだ。風呂場でのローションプレーでも、マッサージでも股間を強調するような場面(たとえば股間付近の太ももを揉んだりするとか)はついぞ見られなかった。衣装自体も、レギンスとか革素材のショートパンツなど露出の低いものが多かったと思う。
 また、演出そのものにも詰めの甘さを感じることが多々あった。チャプター6では、成海が男子に個人ヨガ授業を施す場面があるのだが、これがどうにも。照明が暗い上に成海の衣装も黒のボディースーツ、しかも場所が黒のソファーの上でやっているので全く分かりづらく、エロさが引き立たない。

 それに、致命的なミスだと思えるのが一つ。
 先ほど書いた風呂場のローションプレー、成海に「変な感じになって来ちゃった…」と言わせておいての直後のチャプターである。きっと次の場面では変な気分になった男子が成海に迫るのかといえば、さにあらず。成海が着衣の下につけていたレザーのショートパンツを見せびらかすだけに終わったという。
 作品の序盤では、ベッドの上で無防備にランジェリー姿をひけらかす成海を見てのしかかろうとする(そして、成海に突き放されていなされる)男子の姿がストイックに描かれているのだが、こうしたシーンは、風呂場でのローションプレーの直後にこそ取り入れるべきではなかったか? 見ている側としては、演出上のミスを痛感しないわけには行かなかった。

 かように演出面での消化不良こそあったが、「願望図鑑」に続いて成海のナチュラルなエロスを発揮できた作品であることは疑いがない。ただ「僕の妄想」シリーズを「願望図鑑」のレベルまで高めるには、演出の面でもう少し研さんが必要なのではないかと思っている。

(※)2011.11.30一部修正、加筆しました。