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マサトヰシグロシャムロック「G」@100年の共産党

グラビアアイドルのDVDをレビューしていくブログ。

池田静香「ひとりじめ」(イーネット・フロンティア、監督:川嶋征樹)

 よくあることかどうかは分からないが、初見でつまらないと思ったIVをしばらくたって見てみると、ガラッと印象が変わることがある。かつて「ガキの使い」で、松本人志が「捨てようと思っていたAVをふと見返したら、いい場面があると気づいて捨てられなくなった」てなネタを披露していた記憶があるが。
 今回紹介する池田静香の「ひとりじめ」という今年8月に発売されたIVも、「ある要素」が含まれていることで評価ががらりと変わった作品である。まあその要素に気づかなかったのは純粋に私の落ち度で、その点は改めていきたい。

 池田のファーストDVDとなる本作は、伊豆の旅館へ恋人と1泊2日の旅行に出かけるという設定。都会のわずらわしさから解放された空間で、ハンディカメラを構えた恋人が池田に次々と赤面ものの要求を突き付ける。とまどいつつも、彼女は受け入れてしまい…という筋立てだ。
 なんだか、「願望図鑑」を連想される内容ではないか。その辺の期待も加わって私は「ひとりじめ」を購入したのだが、初見の際は落胆の思いがふつふつとわいたものである。
 なにしろ画質が悪い、音響の設備が整っていないのか池田の声が聞きづらい、極めつけは池田を映す恋人役の声がそのまま出ていることだった。池田に指示を出しているらしいのは分かるのだが、ボソボソと聞き取れない音量で、男性のぬらつくような声が聞こえてきて気持ち悪い。「願望図鑑」などでは、カメラマンの声はテロップ処理されており、ネットで不評があがっていたのだが、テロップを肉声に変えるとさらにキモいものだな…と思った。
 マッサージシーンでは恋人の手が出ない状態で、池田がなんやら小さく声を上げているだけだし、ポージングも特にきわどいわけでなしで、作品への第一印象は最悪だった。初見の後、約4カ月間全く見返ししなかったことで、私の落胆ぶりが分かっていただけると思う。

 そんな作品をなぜ今回取り上げるに至ったかというと、このIVを再見してみると「ある要素」に気づいて、えらく興奮してしまったからである。そんなに印象の悪い作品をなぜ再見するつもりになったかって? まあ、それはふとしたことで「今年見たIVの中で悪かった作品が、どんだけひどかったか」などと考えだして、改めて確認しようと思ったから。…こう書くとヒデーなわれながら全く。
 とはいえ、ここからは評価のターンなんでどうぞよしなに。

 「ひとりじめ」の評価を高めた「ある要素」とは…ズバリ「恋人同士のセリフのやりとりのエロさ」である。
 おそらく読者の皆さんは、「おまえ、初見のときセリフが分かりづらくて気持ち悪いと書いたじゃねーか!」とツッコんでいよう。実は今回、あまりにもセリフが不明瞭だったのでちゃんと聞き取ろうと音量をガッツリ上げて視聴したのである。そうしたらビックリ、2人の会話の内容のエロいことと言ったら!
 ちなみに、再見ではテレビの音量を初見より5〜6倍上げている。基本的に作品にはBGMがない(このへんは「願望図鑑」風味)ので、近所迷惑の心配はない…と思う。

 まず気づいたのは、恋人役のカメラマンがセリフから独特のエロスを醸し出していることだ。音量を上げて再び聞いてみると、聞き取れることもあって以前のようなキモさは薄まっていた。会話の内容に集中すると、これがなかなか艶のあること。旅館に着くなり、恋人は露天風呂に入ろうとする池田の脱衣シーンを撮ろうとする。そこで「(ストッキングを)ゆっくり脱いで」、池田がひざまで脱ぎかけたところで「そこで止めて」と彼女のM字開脚を映し、「(パンストに)手を入れて」…などなど。要所要所で、リクエストに応える池田に「いいねー」「かわいい!」と声を掛けるのもポイントだ。
 私の説明が下手なもので申し訳ないが、非常に臨場感が伝わってくる場面だった。セクシーグラビアの撮影現場ってこんな感じじゃなかろうかと思わせてね。そういや、南原清隆が「ウンナン世界征服宣言」で松本伊代のグラビアを撮るとき「すごくキレイだよ〜」と言っているVTRにスタジオが引いていたっけ…古い話だが、あんな感じがするというか。

 チャプターを重ねるごとに、恋人の発する要求およびセリフは過激化していく。寝る前に紫の下着姿でスキンを全身に塗る池田を見て、「マッサージさせてよ」と提案する。で、マッサージシーンに入るのだが、初見では恋人の施す手が映っていない、池田のリアクションが薄いなどで興ざめしたことは序盤に書いた。今回、音量を上げてみてみるとまるで印象が違う。
 「んっ、…ふうん」「気持ちいい…」などと目をつむりながら悩ましく反応しているのが分かるではないか。セリフが明瞭に聞き取れると、興奮度が増すというものである。

 彼女の反応を見てとった恋人は、指示をエスカレート。「胸を寄せてみて」と言われた池田は、素直に二度、三度と両ひじで深い谷間をつくる。これに気をよくした恋人は、「いい…」とつぶやく池田に「何がいいの?」などと問いかけてみせる。一種の言葉責めだが、池田は「ん?…マッサージが」とかわしてみせる。まさに密室でのピロートークそのもののやりとりで、見る側の臨場感をいやがおうにもかき立てるのだ。さりげなく股間の接写、足元からあお向けであえぐ池田のショットを挟み込んでいるのもよい。
 夜が明け、旅行最後の朝が来てもなお恋人の言動はエスカレートしていく。朝食がわりに買ってきたバナナを池田の手に取らせ、「大きいの好き?」と聞くってオイ。途中から自らの手で池田に食べさせ、「大きく口を開けて…」「舐めてみて…」とささやきかけ、最後に「バナナに『ごちそうさま』と言って」である。ふざけているように見えるが、分かる人は、その種の企画ものAVのにおいを鋭敏に感じ取ることだろう。海岸の散歩では、浴衣のすそからチラチラするパンツを下から接写し、「ドキドキしてきた…そっちもドキドキしてんじゃないの?」と語りかけている。
 きわめつけは、ラストの風呂場だろう。体洗いしている池田に「オレに洗わせてよ」と言っていた恋人は、泡だらけの彼女にシャワーを浴びせる。これがえらく偏執的で、やけに湿り気のあるエロスを感じさせた。とっくに泡の流れた胸や尻に、スナップを利かせて集中的にシャワーを当てる。その手つきがペッティングを想像させて野卑な上に、「どうしたの…黙っちゃったけど…」と発したセリフが言葉責めのテイスト。果ては、「胸にかけたい。かけちゃダメ?」などと「シャワー」を省略しているのだから確信犯である。こう書き出してみるとバカバカしい内容この上ないが、2人の密着した関係性、BGMのない空間がエロスを生み出す小道具に昇華させている。

 さて、もちろん恋人役のセリフだけでは「ひとりじめ」のエロさを語ることはできない。ファースト作品である池田の熱演が、車の両輪の片方を支えている。
 24歳の池田は北海道生まれ、主に地元中心でタレント活動をしている。170センチの長身だが、そう感じさせないぽっちゃりグラマーといった体格で、かつ北国生まれらしい色白の肌はいかにも男好きしそう。また声もセクシーな鼻声で、グラドルの素質は十分持ち合わせている。

 当初はとまどいつつも、恋人の指示に応えてポーズをこなしていく池田。彼の用意してきた赤色の競泳水着を着け、自分の体を「プリンプリン系」とおどけながら食い込みぎみのムッチリしたヒップを四つん這いで見せつけたり、自分で考案したセクシーポーズ「肩紐外し」を披露したりしている。
 表情もチャプターが進むにつれ、弾むような笑顔から挑発をたたえたものへ変化していった。先に書いた紫下着でのスキン塗りでは、尻をカメラに突き出しながら、その向こうで相手の反応を確かめるように悩ましい見返りを見せている。
 朝のバナナを食すシーンでは、実を左右から食べるために首を交互に動かすが、キッチリと上目使いのカメラ目線を外さない。彼に「うまいね」と例のセクハラ発言をされても、いったん「そう?うまいとかないし…」と頭から否定せずに再びバナナをくわえだすくだりは「分かってる」感満載で、口腔性交中のやりとりを思わせる刺激にあふれている。

 帰りを惜しむかのように、池田の言動はセクシーなものになっていく。海岸では、自ら浴衣のすそをチラチラさせた上、カメラに尻を向けてパンツの食い込みを引っ張り直し、パチンと音を立てさせている。
 そして風呂場では、恋人に「見てて…」と宣言しながら体洗い。何も指示されていないのに、「う〜ん」とあえいだり、胸を寄せ上げようとしている。いちいち彼にツッコまれると否定するのだが、どうやらそれも確信犯らしい。足を洗っているときに舌を出しているのを彼にツッコまれると、「口の中が乾いているから…」と挑発のためでないとアピールするのだが、少し後でまた、気持ち先ほどよりも強調するように舌舐めずりするのだ。
 恋人の無茶な要求を受け入れていくうちに、自らの中にあった淫らな部分を見いだして解放していく…。音量を低くして見ていた初見では、こういった官能的な筋立てだったと全く分からなかった。画質の粗さ、音響の悪さという弱点を克服すれば、「願望図鑑」に迫るシリーズとなる可能性を秘めていると思う。成海舞「僕の妄想」のときにも書いたが、若い川嶋には研さんを積んでもらいたい。

 なお、池田は現在「Shizuka」に芸名を改めている。彼女のセカンド作品リリースにも期待したいところだ。