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マサトヰシグロシャムロック「G」@100年の共産党

グラビアアイドルのDVDをレビューしていくブログ。

吉木りさ「失楽園」(晋遊舎、加納典譲)

 前回レビューした「楽園」と同時に発表した吉木の新作が「失楽園」である。こちらの監督は「花姑」などを手掛け、今回で吉木担当3作目になる加納だ。

 作品の冒頭、カメラはいわくありげに憂い顔で歓楽街を歩くコート姿の吉木を引き絵でとらえる。何だかドラマ仕立てで、見ているこちらは「IVそっちのけの小芝居全開じゃあるまいな…」と不安になったが、それはまさに杞憂だった。
 ふたを開ければ、グラビアデビュー3年にして吉木の最高傑作が世に出た、そういえる出来だったと私は思う。

 まず先に述べた「序章」のチャプ、高層ホテルの一室に入った吉木はコートを脱ぎ、黒下着のみの姿をあらわにする。そしてベッドの上で目隠しされ、氷責めに悶絶しながら四つん這いの尻を突き出す。「楽園」終盤のベッドシーンを思い出す展開だが、まだ序盤も序盤だ。
 目隠しを解いた後、吉木はコップの水飴を指ですくって口に持って行く。これまでさんざんお口の演技では消極的だった吉木だが、遂に大胆な舐めが来るか? と私は身構えたが、ここは従来路線にとどまる。指を先端からくわえるオーソドックスなのではなく、指を横にして唇にこする不自然なやり方のやつね。「おいおい、腹くくれよ…」と私は鼻白む思いがしたが、ここでは水飴が指と口の間で糸を引くシーンが複数回見られるので、その辺だけでも進歩と見るべきか。

 しかし、私はこの直後に本邦初と言っていいだろう吉木の演技に目を見張る羽目となる。
 約20分近い「序章」の後半、吉木はベージュの眼帯ビキニ姿でシャワーを浴びる。最初は、髪まで洗う彼女のシャワーシーンを丁寧にカメラが追う。下半身をみっちり接写する堅実なカメラワークの後、前半のハイライトというべき場面が出てくる。

 ローションプレーの場面。ローションにまみれた吉木は、うつろな表情で身をかがめ、まずバスタブへ眼帯ビキニの胸をおもむろに擦りつける。彼女の息使いが聞こえるかくらいに、カメラはじっくりとぬらついた胸を接写する。
 そして、吉木はゆっくりとした動きでカメラに尻を向け、バスタブに乗せる。その尻を、両腕の力を使って左右に動かし、バスタブに擦りつけるのだ。そして左右のみならず、縦にブッ、ブブッと鈍い音を立てて尻をバスタブに擦りつける。擦りつけるうちにパンツがみるみる尻に食い込んでいく様をカメラが接写する。身をかがめながらカメラに振り向いたときの吉木のうつろな表情が、いっそうの背徳感を醸し出していた。
 この演技は吉木の巨尻とあいまって、迫力というか、有無を言わせぬエロスに満ちていたと私は思った。バスタブに尻を摩擦させる演技と言えば、戸田れい「願望図鑑」(上村知之監督)や松岡里英「Pure Smile」(同監督)がパッと思い浮かぶ。IV史にさんぜんと輝く作品を名作たらしめた演技に、既に売れっ子グラドルの吉木が敢然と挑み、内容的にも肉薄した。この経験は、吉木にとって貴重財産となると私は勝手に思っている。

 ローションプレーの場面で盛り上がってしまったが、「失楽園」の見どころはまだまだ尽きない。
 ホテルでの逢瀬の翌朝、不倫相手を殺害したという嫌疑で吉木が逮捕・収監される。取調室のシーン、すっぴんメークで無実を主張する吉木。
 あんまドラマ部分が大半を占めると困るな…と思っていたが、ドラマとイメージ映像の部分は各チャプでかなり明確に区別して編集しており、見やすい構成になっている。例の取調室では、灰色のスウェットを脱いで白パンツの股間を大胆に突き出し接写させるショットに挑戦した。

 オフィス内のチャプでは不倫相手の部長との出会いが回想シーン的に描かれる。ここでは机の上に体を横たえ、オイルまみれになってからの演技が出色だ。吉木が太もも、尻に塗りたくる様子を、カメラは足側に位置を固定して接写。両ひざを上げて無防備になった白下着の股間が、みるみるうちに濡れて肉の盛り上がり具合が強調される。ここを逃さずカメラが接写していたのは良かった。その直後に吉木が脇、胸へと取りつかれたようにオイルをなすりつける姿もそそった。
 車中のシーン、彼の部屋のシーンでは一転して挑発的に尻を強調する演技で攻める。どちらも四つん這いの尻をカメラに押しつけんばかりに突き出し、セックスをねだるように体をくねらせる演技が印象的だ。

 そしてラストは法廷のシーン。実は今作で吉木は姉妹という1人2役を演じている。離れ離れに暮らしていた姉役が物語終盤で現れ、ラストのセクシーを担当するという塩梅だ。
 メガネにスーツ姿の吉木。かなり地味な姿だが、法廷という堅いシチュエーションとあわせてこれが意外性にあふれるエロスを見せていた。パツパツのズボンをいったん太ももまで脱いだ吉木は、ぐっとズボンを上げて尻肉を圧迫する。その接写は迫力十分だ。
 さらに机の上であお向けとなった吉木は、がばっと足を開脚させて腰を上げ、生地の食い込んだ股間をカメラに見せつける。下半身を強調したショットの多い吉木だが、雑誌グラビアを含めてもこれだけ広角に開脚した演技は過去にもほとんどないのではなかろうか。序盤から度肝を抜かれた作品の締めにふさわしい開脚ショットだったと思う。

 合計106分という長編、および本編チャプターが9つと比較的少ない構成だったが、冗長に感じさせないほど濃厚な作品だった。何より吉木に、これほどセクシーの引き出しがあったという点で目からうろこが落ちる思いがした。
 今作はドラマ仕立てでセクシーを強調する、いわゆる「ギルドワールド」の典型というべき作品だったが、吉木は見事な順応を見せていた。もしかして、ギルドワールドこそが吉木の水に合っているのかもしれない。
 「失楽園」での吉木の成長は、そのまま若手グラドルおよび「マンネリ」作品を出し続けている中堅グラドルへの少なからぬ刺激となるだろう。そういう意味で、今後のIV界の動向に影響する作品なのかと考えるのは大げさであろうか。