マサトヰシグロシャムロック「G」

グラビアアイドルのDVDをレビューしていくブログ。

山口沙紀「願望図鑑」後編(イーネット・フロンティア、監督:上村知之)

 【チャプター6】
 夜、旅館の和室で山口と北森が晩餐。山口はビールをチビリとやるが、どうやら酒に弱いらしく、すぐに箸の動きがままならない状態に。「酔ってないもん」とタメ口になった後、座イスにもたれて両足をテーブルに投げ出し、浴衣の胸元をはだけさせ首筋を愛撫しだす。さらにテーブルに右足を乗せてひざ立ちし、紫のパンツを露出させた状態で腰をゆっくりと前後運動させる。まるで北森に見せつけるような意味深長な目線をたたえて。
 夜は終わらない。山口は「眠れなくて…」と北森の寝室を訪ねる。撮影続行するか訪ねる北森に、しおらしい山口は「撮影とかじゃなくて…」と再び浴衣の胸元をはだけだす。全身汗みどろとなった山口は四つん這いとなり、ねっとりと尻を前後に動かす。体勢を変えてひざ立ちとなり、上半身を上下運動。はだけた胸元に両の拳を当て、幾度も中央に寄せてみる。さらに体勢はあお向けに変わり、何かに突かれたかのように上半身を律動させる。山口はかすかなあえぎ声を漏らしながら、先ほどまで胸を押さえていた両手を投げ出し、脇をさらすのだった。

 【短評】
 個人的に、作品中で最も度肝を抜かれたのがこのチャプター。このチャプターの前と後で、ハッキリと作品のテイストが分かれる。
 驚きのポイントは2つある。まずは山口に「酔うとエッチになる」という設定を与えたこと。酒を飲んだ女性が大胆になるという設定は、大矢真夕「純真フライトⅡ」や太田千晶「Knock Out」などで導入されているが、さすがに今回の山口ほど濃厚なパフォーマンスではなかった。余談だが、テーブルに股間を擦り付けるときにパンツと色合いが一緒なのはリアクションに困った。
 2つめのポイントは、モデルとカメラマンがタブーを踏み越えてセックスに至ってしまったことだ。同じ上村演出で辰巳奈都子出演の「完全監視」でも、モデルとカメラマンが恋仲になっているが、大胆な描写は全くなかった。今回、カメラマンが迫るのではなく山口から誘うという流れにも新鮮な驚きがあった。
 山口の演技にも、当然目を見張るものがあった。火照った体を抑えられず本能的に愛撫するのはもちろんだが、個人的に「おっ」と思ったのは正常位の疑似セックスをしている場面。両脇をさらしてあられもなくあえぎ立てる姿は、作品前半で見せた固い表情、固いガードとは正反対のものである。ここでの脇さらしは、相手に対し警戒を解いた愛情表現の一つとみていいだろう。この辺は、演出も非常にさえていると思う。
 しかしなぜ、山口は北森に体を許したのだろう。まあ当事者間でしか分かり得ない魅力ってのがあるから、カメラマンはもてるんだろうが。

 【チャプター7】
 翌朝、露天風呂とは別の浴室に漬かる山口。昨日までとはうって変わったリラックスした表情で、北森の問いに答える。チャプター2と同じように、裸の背中にシャワーをかけられる。向きを変え、バストをちょうど隠すようにひざ頭を立てたM字開脚を見せる。風呂上がりの着替えは、例によって盗撮されていた。

 【短評】
 チャプター5と同じく入浴をモチーフにしているが、山口の表情が全く違っていることに注目したい。まさに北森に心を許した、さっぱりした笑顔で歯を見せている。
 撮られ方もコツをつかんできたのか、それとも北森に芽生えた愛情ゆえか…。背中をそらす動作一つとっても、挑発をたたえたエロスがにじんでいる。

 【チャプター8】
 撮影のため(公私の別がつきにくくなっているが)、山口は自宅に北森を招き入れる。彼に促され、部屋着と称した薄手のシャツにピンクのパンツ姿となる。撮影が始まり、山口は後ろ向きでひざ立ちとなってパンツを見せるのだが、北森の様子がおかしい。両足をつかまれ、引きずり倒される。異変に気付いた山口は、あお向けのまま抵抗するが解放されない。そのうちうつ伏せに体勢を変えられ、山口は荒々しく腰を前後に振り立てる。彼女は枕をつかみ苦悶の表情を浮かべるが、「あっ」「うっ」というくぐもった声とともに北森の野卑な動作を受け入れていく。

 【短評】
 北森が山口の両足をつかみだしたとき、私はてっきり足つぼマッサージをして彼女を悶絶させるのかと思った。戸田版の「願望図鑑」でも同様のシーンがあったからである。結局は本性を現した北森に陵辱される山口の姿が数分間描写されており、先の予想はいろいろな意味で裏切られた。
 当初は顔をこわばらせて逃れようとする山口が、やがて北森の責めを心ならずも受け入れていくさまが悲しくも悩ましい。責められながら首筋の髪をかき上げるところも色気を感じた。腰振りの鋭さも申し分ない出来である。

 【チャプター9】
 山口の携帯に、再び「ユキ」から連絡が入る。ユキはしばしの沈黙の後、バイト先のカメラマンに盗撮されていたことを告げる。程なく北森から山口へ「会いたい」旨のメールが届く。山口は「もう会いたくない」と返信するが、北森は「会った方が身のためだ」と逆に脅迫するようなメールを送りつけてくる。

 【短評】
 短いチャプターだが、良心の呵責に耐えかねて山口に電話を入れるユキの心使いに泣かされる。そういえば「支配妄想」の最上は、学費の捻出に心なやませる勤勉な学生だったか…。もっとも北森は、そうした被害者同士のやりとりも織り込みずみで行動しているようだが。

 【チャプター10】
 ホテルの薄明かりの一室。胸元が大胆に開いた紫ドレス姿の山口は、北森にシャンパンを瓶ごと口に押し込まれる。まゆをひそめながらシャンパンを飲み下した後、山口はソファのひじ掛けにまたがり、まるで打ちつけんばかりに汗みどろの尻を激しく上下させる。程なくソファにあお向けで寝そべり、両足を緩く投げ出しながら両脇をさらして体全体をくねらせる。表情も挑発的だ。

 【短評】
 シャンパンを飲まされるときは口技にも少し期待したが、一方的に口に瓶を押し込まれたからか戸田のような派手なパフォーマンスはない。そのことは残念だったが、ソファのひじ掛けと絡む姿は、尻汗のにじみっぷりも含めて十全にエロい。チャプター6での「酔うとエロくなる山口」という設定を下敷きにしたからこそ映えるシーンだ。接写もほかのチャプターと比べて粘り強く尻を映していると思う。
 またカメラを握る北森に見せつけるかのように、両脇をさらすショットも印象的だった。山口にとって、脇の露出は感情のたかぶりの証し。屈服させられても、いまだ山口は北森の魔手から逃れられないでいることをこのチャプターは示している。

 チャプター11
 白キャミソールをまとう山口は、ベッドの上で両手を拘束され、黒の目隠しをされている。太ももや尻を羽根で愛撫され、壁に手をついてもだえる。あお向けで恥ずかしそうに股間を手で押さえた後、けげんな顔つきでキャミソールをたくし上げ胸の谷間を露出させる。後ろ向きでキャミソールを脱ぎ捨てTバック姿となり、上半身裸でうつ伏せの体勢を取ると上から水滴を垂らされ小さく声を上げる。

 【短評】
 終盤に来て、やや消化不良な内容だったか。世界観を共有する「支配妄想」では似たようなシチュエーション(薄暗いベッド)で、ホイップをまぶしたバナナを最上に食べさせるエグいショットが見られたのだが。
 ただこのチャプターでの山口は、先ほどまで見せていた甘美なパフォーマンスが影をひそめ、水滴を垂らされても拒絶するような硬い表情を見せている。このリアクションは、そのまま山口の北森への感情の冷えっぷりを表したものでもあるので、それはそれで意味のある内容だった。

 【チャプター12・エンディング】
 もはや北森に対して恐怖心しか抱いていない山口は、鳴り続ける携帯電話に枕をかぶせて拒絶する。しかし時すでに遅かった。北森は山口の部屋に近づいている動画を送りつけるほど常軌を逸しており、彼女を力ずくで屈服させる。「逃がさねえからな!」「もう諦めろよ」という無慈悲な言葉を吐き捨てながら…。

 【短評】
 最後はホラーテイストで締め。通算3回目の疑似セックスシーンとなるが、本気で嫌がるような山口の迫真の演技もあって実用性は皆無に等しい。ただ襲われているときの山口の両脇が閉じられ、北森を拒絶している描写に演出の一貫性を感じた。


 本編を見終わって、後味の悪い結末にもかかわらず、私の胸の中は充実感でいっぱいだった。
 山口版「願望図鑑」は、成海版や戸田版に比べて接写は控えめであり、アイス舐めなど疑似的なプレーがフィーチャーされているわけでもない。それでも「さすが願望図鑑シリーズだ」と圧倒されずにはいられなかった。
 シリーズ3作品の中で、最もセックスのにおいが充満していた異色のIVだったと思う。それはひとえに、山口の繊細な演技と、周到な演出の融合がなせる技にほかならない。
 IVの「過激化」が促進され続けている今日、ネット上では接写や透け乳首などの露出にこだわる手合いが実に増えているように思う。しかし、そうした手法が控えめでも見る側に興奮を与える作品は作れるのだ―そんなアンチテーゼを山口版「願望図鑑」から感じたというのは、果たして言い過ぎだろうか。
 山口の作品をこれまでまともに見たことのない私が言うのもおこがましいが、この「願望図鑑」で山口はグラドルとして一皮も二皮もむけたことは間違いない。また一人、グラドルの飛躍に助力したシリーズとして「願望図鑑」の威力を知らしめた、そんな一品だった。