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マサトヰシグロシャムロック「G」@100年の共産党

グラビアアイドルのDVDをレビューしていくブログ。

池田夏希「Dearest」(晋遊舎、監督:安倍雄治)

 私が当ブログで最も多く取り上げている安倍雄治監督の作品だが、彼はいわゆる「年上もの」をよくテーマに取り上げている。特に学校を舞台にした「女教師」もの、モデルが家庭教師役で生徒を誘惑する「家庭教師」ものを多数制作してきた。
 その安倍が最近、オフィス(基本的にデスクワークの部署)を舞台にした「年上OLとの社内恋愛」ものに食指を伸ばし始めたようである。8月に発売した池田夏希「Dearest」が、それだ。
 安倍は池田の作品を発表する直前の7月、西田麻衣「なつまい」や小松詩乃「しの」といった作品の中でオフィスラブを描いたチャプターを制作していた。職場ものに凝りだしたらしい安倍にとって、年上OLとの恋を真正面から扱うのは必然だったといえよう。

 ただ「Dearest」に関して言えば、安倍は「年上OLとの恋愛」を描き切れてはいなかったと感じる。ポイントはまあ結構あるが、まず視聴者の目から見て「池田が年上として魅力ある女性に見えるか」という点に引っ掛かった。
 「トップグラドルの池田に魅力がないてw」「自分の顔鏡で見てから言えやww」「アホスwwwww」と草を生やす人もおられるかと思うが、「年上として」というのがミソである。まあ実際には池田は私よりずいぶん年下なわけだが、やはり作品を見る人の側にとっては感情移入というものがある。自分の感覚を社会人になって間もないころまで巻き戻し、いかにモデルの「お姉さん」ぶりを堪能できるか…そのへんが「年上女性との恋愛」ものを楽しむ決め手だと思うのである。
 これまでの女教師もの、家庭教師ものなら比較的容易に感情移入しやすかった。教師と生徒、というのは当然ながら年齢差のハッキリした関係性だからである。
 それがオフィスの先輩後輩、となるとあやふやになってくる。1浪を経て大学に入学・卒業した人ならば1年先輩でも同い年である。「DVD見るのにいちいち気にすんのかよそこまで」という意見があれば、それはごもっともだが、設定を置いただけで視聴者がスンナリ入り込めるほど「オフィスの年の差恋愛」を描くのは容易ではない。そういうことが言いたいのである。

 難解な設定であればあるほど、モデルには適度な演技力が必要になってくる。果たして池田はうまく「先輩」を演じられているかというと、これが非常に棒であった。池田の実年齢は24歳(1987年生まれ)。現役入学を経た大卒2年目に相当するわけで、新人社員をときめかせる役柄をこなすには十分なアドバンテージを持っていた…のではあるが。
 ともかく発声が舌っ足らずで幼いというか、先輩の威厳をたたえた聡明さを持っているようにはとても見えない。接点もコピーの取り方とかお茶の差し入れくらいのもので、個人的には池田がもっとバリバリとした有能社員を演じて(ドラマの篠原涼子みたいな)、新人くんをときめかせる展開にしてほしかったところだ。
 池田先輩と新人との仲は、突然に接近する。池田が、ある男性の同僚に失恋するのだ(男性の後ろ姿が恰幅良くて中年ぽかったので、不倫かと思ったがその点は言及なし)。誰もいないオフィス、池田は残業する新人を見つめ、「ねえ…私のこと、好き?」とささやく。盛り上がる告白シーン! と言いたいところだが、消化不良感が残った。
 「好き?」と言った後で急にイメージシーンとなり、池田がYシャツを脱ぎだす。その流れは唐突だったように思えた。池田は失恋の傷を抱えたまま、自分に思いを寄せている新人に向き合うわけだから、「私もきみのこと好きよ…」と切なそうなセリフを重ねるとか、もっと丁寧な演出を施して盛り上げてほしかったなあと。
 そのほか、新人くんの妄想として海辺にてビキニではしゃぐ池田の姿を収めたチャプターがあるが、内容の善し悪しは別としてこういうのは興ざめする。「年の差恋愛もの」のコンセプトがぶれてしまうし。

 接写・ポージングについてだが、このへんの感想については一長一短ある、という感じだ。以前の池田作品は、接写に対して非常に厳しいところがあった。顔アップおよび上半身の撮影がメーンで、下半身の方は足を撮ることはあっても、尻や股間をカメラがとらえる時間は非常に少ない(すぐ画面が切り替わる)ことが多々あって、ストレスを感じることが少なくなかった。
 前作「Colorful」からその欠点を克服しつつあったが、今作ではさらに股間・尻の接写が丁寧になっている。黒のV字型下着のシーンでは、立ち姿で突き出した股間をローアングルから撮っているのがインパクトあった。ビーチでの白ビキニ姿の際は波打ち際に足を投げ出して座り、その股間に波が打ち寄せる瞬間をとらえた乙なショットがある。
 ただポージングの大胆さは、「Colorful」よりダウンした気がする。せっかくM字開脚の体勢になっても、股間を腕で隠すとか、足を左右にひねるとかしちゃって「三角地帯」がほとんどお目見えしないってのはねえ。上半身のポージングでも、最近の安倍がお得意にしている「モデルにのしかかるような感じで上半身をエロく撮る」ショットがなかったのが残念だ。西田の「なつまい」のラストチャプターで撮っていたようなヤツね。あれは西田のエロ演技もうまかった。

 演出面でかなり課題を残す出来ではあったが、まだまだ「年上OLとの恋愛」ものは発展途上の可能性を残しているともいえる。「年上もの」好きの自分としては、今作を糧に(別に安倍だけでなくて良いから)もっと魅力ある作品を生み出してくれればと思う。