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マサトヰシグロシャムロック「G」@100年の共産党

グラビアアイドルのDVDをレビューしていくブログ。

野田彩加「彩+(あやぷらす)」(竹書房、監督:中北直)

 のっけから不快な話をして申し訳ないが、街中を歩くと、不道徳なカップルを目にしたくないのに目にすることがよくある。道端でキスしているとか、電車の中で抱き合っているとかいう人々のことだ。
 私が目にしたカップルで一番過激だったのは、深夜のラーメン屋でペッティング、俗にいう「手マン」をしていたカップルかな。「全く若いモンは…」と言いたくなる人もいようが、その2人を見かけたのは約10年前のことで、彼らはともに40歳代の外見だった。そういう行動をするのは、時代も年齢も問わないようである。

 そんな話をなぜ冒頭に行ったかというと、このほど野田彩加の新作「彩+」を観賞したからである。野田と、カメラ目線で行動する恋人との堕落した日常ぶりを、中北のキレのある演出で表現した作品だ。

 野田と恋人との「DQNカップル」な言動は、前半のチャプターで濃密に表現されている。
 恋人の下宿を訪れた野田は、彼のベッドに無造作に置かれた白色の衣類に目を留める。手にしてみると、X字形をした過激なワンピース水着だった。恋人がネットオークションで購入したという。その流れで野田は水着を着させられることになり、雑然とした6畳一間で即興ファッションショーをやらされる羽目に。最初は難色を示した野田も、だんだん高揚してきたのか、最後には彼氏を誘うようにベッドにもたれ、四つん這いのポーズを取る…。
 このチャプで秀逸なのは、まず野田に水着を着せるまでの流れであろうか。彼女にコスプレじみたことをさせるのは、現代IVにおいてもはや定番であるが、その衣装(X字形水着)をベッドにポンと置いていたというのが新鮮であった。そんな雑な扱いをしていた水着が見つかっても悪びれもせず、彼女に着せようとする…まさにDQNのメンタリティーではないか。上村の作品に出てくる男性なら、彼女に着せたい衣装は後生大事に管理していたであろう。
 また、6畳の部屋を水着ショーの場所に選んでいるのも見逃せない。経費削減の一環か、最近は都内らしきところで撮影した作品が増えている。ただ、ロケーションに選ばれているのは、非日常性の漂う広々としたホテルだったりマンションの一室だったりするのが実情だ。そのへんを中北はうまく逆手に取り、ベッドがデンとあって足を伸ばす場所に苦労しそうなアパートを舞台にしている。なんともむさ苦しい部屋で、窮屈そうにポーズを取る野田…まるで隣の部屋でやられているような生々しさがあるではないか。

 次のチャプターでは、場所を大衆居酒屋に移す。閑散とした店内、主人は厨房へ引っ込む。貸し切りのような2人だけの空間、恋人は何を思ったかこの場で野田にM字開脚をするよう希望するのだ。
 こんなことを実践して、人目に触れたら即通報レベルである。しかし野田は、結局言われるままにM字開脚、スカートをまくっての股間露出や四つん這いに応じるのであった。
 ここでは、野田の生き生きとした演技が印象に残る。彼女のIVを見るのは3作目だが、正直、過去作を見ていて、見どころのある演技をする子だとはとても思えなかった。表情が全般的に硬いし、ポージングにも思い切りのよさがさほど見られなかったからである。
 それが居酒屋のチャプではどうだ。恋人の要望に言葉の上では嫌がりながらも満更でない表情を見せ、さらに自分から承諾を示すかのような軽い口づけを交わしてみせる。そこからは一気呵成で、逆に楽しむかのように辺りに気を配りながら、彼に痴態を見せつけていく。股間や尻の接写も申し分なく、いやはや、お見それしました。野田にはこういう役柄、似合うんじゃないの。

 チャプターが進むにつれ、DQNカップルの怠惰な描写は薄れていくのだが、見どころが薄まってわけではない。ほかに出色だったのは、マッサージシーンだ。
 IVの定番であるマッサージには、元来セックスの暗喩があると私は思う。他人の手に愛撫されて、モデルの苦悶の表情を映すのだから今さらしたり顔で語るつもりはないが、それでもこの作品での野田へのマッサージはエロスに満ちていたと思う。
 野田の全身に這わせる恋人(当然手は女性のだが)の手つきが、思いのほか激しい。太ももの付け根まで擦る場面はペッティング、背後から胸を強く揉み立てる様は正常位をそれぞれ想像(妄想)させる。
 締めの尻マッサージでは、野田を椅子にもたれさせているのが何よりもファインプレーだ。これで野田の体勢は自然と「ヒザ立ちバック」となる。必然的に、この姿勢の尻をマッサージするとまさに自分が後背位を楽しんでいるかのようなアングルで野田を見られるわけだ。これまでの尻マッサージでは、だいたいモデルはうつ伏せで寝ていた。これぞコロンブスの卵的発想で、中北の才気あふれる演出が冴えたチャプターと言えるだろう。

 注文がないわけではない。惜しかったのは、廃虚(序盤の日常性から飛躍してしまった!)のチャプか。ここで野田は恋人の指示でボンデージファッションを身に着け、ポージングする。
 ボンデージ衣装の上には、まるで露出狂が着るような草色のコートを身に着けていたので、いやがおうにも見る側の期待は高まった。しかし、ふたを開ければ座りポーズなのに股間を閉じているなど見せ方が凡庸。どういうわけか、カメラのフレーミングも斜めになっていることが多くて残念だった。まあ斜めフレーミングは、7〜8年前の着エロIVでよく見た演出だが。

 とはいえ、野田の新境地を開いた作品であることは疑いない。坂本のぞみ「ジェラシー」や松下李生「妄想癖」などで、一癖二癖ある女性を描いてきた中北の面目躍如と言えるだろう。